ビジネスマナー研修とは?
実施する目的と内容、起こりがちな失敗
ビジネスマナーは、顧客や社内の人と信頼を築くための基本といえます。ビジネスマナーがあると良好な人間関係やビジネスを構築し、成功に欠かせない要素といえます。しかし、ビジネスマナーの本質を理解できている人は少ないため、新入社員だけなく中堅社員もビジネスマナー研修を受けるほど、ビジネスマナーは社会にとって重要です。
そこで本記事では、「新入社員に向けたビジネスマナー研修について」「ビジネスマナー研修で学ぶ主な内容」「ビジネスマナー研修でよくある失敗と対応策」の3つをご紹介します。
新入社員に向けたビジネスマナー研修とは?
ビジネスマナーとは、他の人と仕事をする上で必要なマナーのことです。ここでは、ビジネスマナー研修で一番ポピュラーである新入社員に向けたビジネスマナーについて紹介します。
ビジネスマナー研修とは?
ビジネスマナー研修は、ビジネスにおける正しい作法や態度、商習慣上のマナーを学ぶための研修です。社員は役職や入った時期にかかわらず、社外に出れば「会社の代表」となるため、ビジネスマナーが悪いと自社のイメージを崩してしまいます。
そこで、コミュニケーションスキル、プレゼンテーション技術、電子メールの作成方法など、ビジネス環境での振る舞いや慣習に関する知識とスキルを向上させることを目的としています。ビジネスマナー研修では、状況に応じて相手に合わせた適切な対応ができるように考え方やスキルを習得します。
ビジネスマナー研修の目的
ビジネスマナー研修の目的は以下の4つです。
- 相手に不快な思いをさせず、良好な人間関係を築く
- スムーズに仕事を進める
- ビジネスマナーを習得する
- 会社の信用を失わない対応
顧客や上司、同僚であっても、良好な人間関係を築いていくために、ビジネスマナーは重要です。
例えば、あなたが帰り際に同僚に挨拶をしたとします。しかし、同僚は不愛想に挨拶を返してきます。これだけで挨拶をした側は不快な気持ちになってしまい、今後良好な関係を築いていくのは難しいでしょう。世の中にある多くの仕事は、1人では取り組めないものもあり、社内の人とコミュニケーションが取れなくなると仕事もうまく進みません。
また社内だけでなく、取引先の企業様にも同じようなことをしてしまうと「この人とは仕事をしたくない」と思われ、信頼関係の構築が難しいだけでなく、重要なビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。
ビジネスマナーを習得する方法としては、マナー本などを読んで学ぶ方法や、社員研修で学ぶ方法などがあります。会社として社員全員が持つべきレベルのビジネスマナーがある場合には社員研修によって社員全員が同じビジネスマナーのレベルで対応できるように研修を行うことが重要です。
新入社員がビジネスマナー研修を受けるべき理由
新入社員がビジネスマナー研修を受けるべき理由は2つあります。
1つ目は、新入社員は他の社員と違い社会経験が浅いからです。現場に配属されると、仕事内容について学ぶことは多いですが、そもそも社会人として必要とされるビジネスマナーを体系立てて深く学ぶ機会はありません。ですから、基礎固めともいえる入社直後に研修を受ける方が良いでしょう。
新入社員で現場への配属前にビジネスマナーの重要性を論理的に学ぶことができるビジネスマナー研修を受けてから現場に出る方が、新入社員にとっても受け入れ側にとってもプラスに働きます。
2つ目は、いち早く社内外から信頼を得るためです。ビジネスマナーは、他者から信頼を得るために必要な最低限のスキルです。スキルを持っている人と持っていない人では、人間関係の構築や成長スピード、成果達成の度合いが大きく変わります。
新入社員は、他の社員と異なり、社会経験が浅いため、職場でのマナーに不慣れな場合があります。ビジネスマナー研修は、業務内容だけでなく、その重要性を論理的に理解する機会を提供します。また、ビジネスマナーは、社内外から信頼を得るための基本的なスキルであり、スキルの有無は成長スピードや成果達成に大きな影響を与えます。仕事を迅速にこなせる能力は、信頼を築く上でも重要です。
ビジネスマナー研修で学ぶ主な内容
ビジネスマナー研修は、新人社員に限らず、管理職を対象にした研修もあります。
具体的にビジネスマナー研修でどのようなことを学ぶのかを、8つの項目に分けてご紹介します。
- 社会人としての心構え
- 身だしなみ
- 挨拶
- 言葉遣い・話し方
- 電話応対
- ビジネスメール・文書作成
- 姿勢・立ち居振る舞い
- 名刺交換
社会人としての心構え
まずは、研修で社会人としての心構えを学びます。商談や打ち合わせ、資料提出などあらゆる場面において期日を守らなければなりません。 少しでも遅れてしまうと、社内だけでなく社外の人の信頼を失ってしまう可能性があります。
期日を守れるように体調管理も徹底し、もし遅れるようであったら事前に上司や同僚に「報連相(報告・連絡・相談)」をしておきましょう。また、情報漏洩防止の意識も高めましょう。
SNSなどは、どこで誰が見ているのかわからないため、プライベート用のSNSを使って仕事で得た情報を発信すると、重要な機密を漏らしていると見られ、社内の人からの信頼を失ってしまいます。
組織の一員として、情報の取扱いには責任をしっかりと持ちましょう。
身だしなみ
ビジネスにおいて第一印象は重要です。「メラビアンの法則」という心理学の法則では人の第一印象は3秒で決まると言われており、会った瞬間の印象がその後の印象を左右します。特に見た目は第一印象を左右する重要な要素ですので、特に意識しましょう。
研修では、相手を不快にさせないよう、清潔感のある身だしなみがどういうものかを学びます。外見は内面を表すと言われているほど第一印象が重要なので、新人社員だけでなく中堅社員向けのものもあります。
具体的に身だしなみのポイントは以下の3点です。
- 寝癖がなく清潔な印象を与える髪型
- シワがなくしっかりと手入れされているスーツやシャツ
- 短く整えられていて汚れがない爪
- 男性の場合は髭を剃っておく
寝癖があったり、シワシワのスーツを着たりしている人は、一緒に仕事をしたいと思われる人ではありません。TPOに合わせた身だしなみを心がけ、清潔感を常に意識しましょう。
挨拶
ビジネスマナー研修では、基本的な挨拶の仕方からTPOに合わせた挨拶の使い分け、臨機応変な対応の仕方などを学びます。日本においては「挨拶で始まり挨拶で終わる」と言われるように出社から退社までさまざまな挨拶が繰り返されます。
「相手が挨拶をしないから自分もしなくてよい」と考えて、挨拶をせずに通り過ぎるのはマナー違反となります。自分から進んで挨拶を行うことで、普段挨拶を返してくれない方でも少しずつ心を開いてくれます。
また、語先後礼のマナーも守りましょう。語先後礼とは、言葉を先に発してその後に礼をすることです。言葉を発してから礼をすることで、相手が自分を見たときに、丁度お辞儀をしているときに目に入ります。
この他にも、日頃行っている挨拶の中には様々なマナーが存在します。これらを研修で理論的に学ぶことで、より印象の良くなる挨拶ができるようになります。
言葉遣い・話し方
研修では、社会人としての言葉遣いはもちろん、実際に声に出して話すスピードや相手の集中力を途切れさせない話術など会議での報告やプレゼンテーションでも活かされる実践的なことも学びます。
身だしなみや挨拶ができていても、いざ話してみて言葉遣いや話し方が社会人にふさわしくないとなると、これまでの努力が水の泡です。
敬語を使うことはもちろん、丁寧な言葉遣いで相手への配慮や気遣いを占められます。
新人社員や若手社員に多く使われる若者言葉やファミリーレストランやコンビニなどでよく使われるマニュアル言葉と言われる敬語は、ビジネスシーンにはふさわしくないので正しい言葉遣いを覚えるようにしましょう。
また、話し方も早口で声が小さいなど、相手にとっては話しが聞きづらく、内容も伝わりづらいです。
社内や社外にかかわらず、人前で話すことは避けては通れません。
身だしなみと同様に第一印象が重要になり、「どのような話し方だったのか」を見て、印象の良し悪しを決めてしまう方もいるので、気を付けましょう。
電話応対
ビジネスマナー研修では、電話のかけ方や受け方、注意する点などを学び、実際にロールプレイングを行って自然な電話対応を学びます。
近年は、スマートフォンを使ったSNSが一般的になり、電話を利用する機会が減ってきています。そのため、新入社員や若手社員の中では電話応対を苦手に感じている人が多いです。
電話のかけ方や受け方などの電話応対のマナーは、事務職にかかわらず全ての職種で身に着けるべきビジネスマナーの1つです。電話はお互いの顔が見えないため、声のトーンや話し方で相手に与える印象が大きく異なります。
ビジネスマナー研修によって、会社の代表として責任感を持ち、明るくハキハキと話せるようになるためのトレーニングを行うことが重要です。
ビジネスメール・文書作成
ビジネスマナー研修では、ビジネスメール・文書作成の種類や特徴、ノウハウなど基礎的な文書構成の違いを学び、実際にメールや文書を作成します。
ビジネスメールや文書作成は、ビジネス用語を使う文章に書き慣れていなかったり、文書作成のポイントがわからなかったりすると時間がかかります。
ビジネス文書を作成するときも、相手への敬意が伝わるようにすることが大切です。
姿勢・立ち居振る舞い
ビジネスマナー研修では、立つ・歩く・座るといった基本の姿勢はもちろん、普段の姿勢を見直し修正します。
歩き方や座っている時の姿勢などは見られていることが多く、姿勢のクセを指摘されても自分では気づきにくいため、理解しにくい人が多いようです。
普段から首と背中を意識的に上に伸ばして肩先は落とし、骨盤で体を支えるように立つことを意識すると、美しい立ち方と座り方になります。
また、歩くときは目線は斜め前にして、かかとに力が入りすぎないようにするといいでしょう。
第三者の目線から、自分のクセを直すためにアドバイスを受ける機会は少ないため、こういった点が学べるのもビジネスマナー研修のメリットです。
名刺交換
ビジネスマナー研修では、名刺交換のタイミングや出し入れ、複数人との交換の仕方などをロールプレイングで学びます。若手社員や中堅社員であっても「スムーズに名刺交換ができる」と自信をもって言える人は意外と少ないです。
まずはあらかじめ名刺入れを手元に置いておき、すぐに名刺を取り出せるように準備しましょう。交換する順番は、訪問者あるいは目下の方から相手に近づいて先に名刺を渡します。名刺を渡すときは、名刺を片手で持ち、もう片方の手を名刺に添えながら、相手に文字が見えるように正面を向けて差し出します。
名刺を受け取る際は、同時に差し出している際は左手で受け取ってからすぐに右手で添えてください。この時に一言添えるようにする緊張した空気も和らぎますが、基本的には名刺は胸より上の高さで保ちます。受け取った後はすぐには名刺入れには仕舞わずに、名刺入れの上に置いておきます。
仕舞うタイミングは、その場の雰囲気によってさまざまですが、名刺を名刺入れに仕舞う動作は打ち合わせや商談がそろそろ終わる合図になるので、相手や周囲の人に合わせておくとよいでしょう。
ビジネスマナーの基本・電話・言葉遣い・文書作成などを一覧で紹介します
ビジネスマナー研修でよくある失敗と対応策
ビジネスマナー研修をするにあたって、よくある失敗があります。ここでは、ビジネスマナー研修でよくある失敗例4つと失敗の対応策について解説します。
新入社員に目的や意図が伝わらない
1つ目は、新入社員にビジネスマナーの目的や意図が伝わらないことです。ビジネスマナーの型だけが教えられ、「なぜ大切なのか」「何のために行うのか」などの目的や意図が伝わらず、実行につながらないという失敗が起こりやすいです。
対応策としては、「なぜビジネスマナーが必要なのか」「研修で何を学ぶのか」を明確に説明する必要があります。マナーを守る・習得するのは社会人にとって当たり前という前提で、目的や背景の説明をおろそかにしないようにしましょう。
新入社員の理解が追い付かない
2つ目は、限られた時間で多くのことを伝えようとした結果、新入社員の理解が追い付かないことがあります。ビジネスマナーは種類が多く、どれも必要不可欠なものばかりです。そのため、1日の限られた時間の中で全てを伝えようとすると、新入社員の理解が追い付かず、実践で知識を活かしきれないことがあります。
対応策として、内容を厳選して本当に必要な情報だけを伝えたり、複数回に分けて研修を行うようにしましょう。また、定期的にテストやアンケートを行い、ビジネスマナーに対しての理解度を確認しておくことも大切です。
新入社員が受け身になりがち
3つ目は、講師が一方的に話す形式の研修の場合、新入社員は受け身になり内容が定着しないことがあることです。
知識を得ることも大切ですが、ビジネスマナーの多くは実践してわかることが多いです。対応策として、質問したりディスカッション形式を取り入れたりして、実践してより理解を深められるようにするようにしましょう。
新入社員が学んだことを実践できない
4つ目は、研修で学んだ知識を実際に試す機会が少なく、身につかないことです。実際に座学を学んだとしても、ビジネスマナーは自分でやってみて習得できるものが多いため身体にしみこみません。
対応策として、ロールプレイングを通して学んだことを実際に試す機会をも置けることや、自然にできるレベルまで反復練習を行いましょう。また、研修後に振り返りやフィードバックの機会を設けることで、誤った行動や態度が改善されます。
ビジネスマナー研修を通して学ぶこと
今回は、ビジネスマナー研修について紹介してきました。ビジネスマナー研修は、社会人としての必要最低限のマナーを学ぶための研修です。
円滑なコミュニケーションスキルを身に着けることで、企業イメージや取引先の顧客の満足度の向上など多くのメリットがあります。ビジネスマナー研修をより効果的なものにするために、座学だけでなく実戦形式も考慮した研修内容を組みましょう。
NTT HumanEXではeラーニングを使ったビジネスマナーに関する研修サービスを行っています。仕事をどうやって進めていけばよいか、研修した人に社会人としての第1歩を踏み出してほしいなど、研修サービスに興味がある方はお問い合わせください。