人のエネルギーを組織に活かす
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)という人材開発や組織活性化のアプローチをご存知でしょうか。
アプリシエイティブは「価値を見出す」
インクワイアリーは「問いかけ」
つまり、「問いかけにより価値を見出す」という意味です。
一般的に組織で物事を改善していく際、あるべき姿とのギャップから問題点を追及する「ギャップアプローチ」と呼ばれる手法が主流です。この手法は組織の「問題点」と「それをどうすれば解決できるか」という観点で思考していきます。
対してAIは、組織の問題点ではなく、「強味や価値」と「なりたい姿」に目を向けます。
「強みや価値」を発達・発現させることは、「ポジティブ感情(充足感・やりがい等)」を生み出し、パフォーマンスの向上に繋がるとされており、 この考え方を、組織で実践する方法のひとつとして注目されているのが、 AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)という、人材開発と組織活性化のアプローチです。
AIは1980年代に米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のデービッド・クーパーライダー教授らによって提唱されました。
具体的には、4Dプロセスと呼ばれる、発見(Discover)、夢(Dream)、設計(Design)、実行(Destiny)という4つのフェーズに分かれて進めていきます。
「発見」のフェーズで、問いやワークを通して自組織の価値や強みを明らかにし、 「私たちの組織にはこんな良いところがあるんだ」 「これが私たちの価値なんだ」 とメンバーが自然に実感します。
「夢」のフェーズでは、ポジティブな感情が引き出された状態で、「私達はこの価値・強みをどう活かし、どうなっていきたいのか」という理想を導き出します。
そして「設計」と「実行」のフェーズでアクションプランを設計・実行していきます。
一連のプロセスの中で「〇〇ねばならない」ではなく、「〇〇したい」という感情が行動へのエネルギーを生み出すのです。
そのため、描かれた理想像は非常に創造力豊かであり、メンバーのモチベーション・主体性そして理想像へのコミットメントも高まり、結果的に組織を良くすると同時に人を育てていく事を可能とします。
このAIを組織のどのような課題に対し利活用できるかというと
- 経営理念の浸透
- チームビルディング&一体感醸成による組織活性化
- 仕事の生産性向上
- 社員の離職防止
- 顧客価値の創造
などに高い効果があり、AIを単なる概念として理解するのではなく、具体的な経営施策として取り入れている事例も多くあります。
今組織が抱える問題・課題が複雑で、ギャップアプローチによる解決が簡単には出来ない。
または問題・課題の議論が他責になってしまって、なかなか進まない。
そんな時があれば、このAIの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。 視点を変えることでブレイクスルーになるかもしれません。