コンプライアンス研修のネタ・テーマの例
~探す際のネタ元やポイントは?
企業がコンプライアンス違反を起こしてしまうと、積み重ねてきた信用が失墜するおそれがあります。企業やブランドのイメージが低下した結果、売上が低迷し、ビジネスが危機に陥る可能性も考えられるでしょう。こうしたリスクを避けるためにも、コンプライアンス研修を実施して、社員にコンプライアンスの重要性を理解させる必要があります。
この記事では、そんなコンプライアンス研修で役立つネタをご紹介します。ネタの探し方から研修を成功させるポイントまで解説するため、人事・総務部門の研修ご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
コンプライアンス研修の基礎知識
初めに、近年のビジネスシーンで重視されているコンプライアンス研修に関する基礎知識をご紹介します。コンプライアンス対策の強化へ向けて、研修ご担当者様は改めて基本から確認してみましょう。
コンプライアンス研修とは?
コンプライアンス研修とは、企業が社員に法令遵守や企業倫理の重要性を学ばせるための研修です。そもそも「コンプライアンス(compliance)」という言葉には、日本語に訳すと「法令遵守」の意味があります。一人ひとりの社員が社会規範や社内規程を守って業務を遂行する意識を持てば、自社の信用が失墜するリスクを避けやすくなり、結果として企業価値を守ることにつながります。
コンプライアンス研修の目的
企業がコンプライアンス研修を実施する目的は、社員に法令遵守を徹底させることで、不祥事の防止やリスク低減を図り、企業価値を向上させることです。そもそも法令遵守を実現するためには、社員が法律や社内ルールを十分に理解していなければなりません。研修を通じて行動規範を周知し、社員の意識を変えることが重要です。法令遵守によって「信頼性の高い会社である」と評価されるようになれば、企業イメージの向上が期待できるでしょう。
コンプライアンス研修の対象者
コンプライアンス研修は、基本的に全ての社員が受講対象となります。ただし、経験や役職、部署ごとの役割に応じて研修の内容が異なる場合もあります。例えば、新卒で入社したばかりの新入社員の場合は、まだ社会人として働く上で必要なコンプライアンスの基礎を学んでいない状態です。そのため、まずは基本的な知識を身につけさせる初歩的なコンプライアンス研修が不可欠となります。
コンプライアンス研修のネタとなるテーマの例
コンプライアンス研修のコンテンツでは、主に以下のような法令違反を題材として取り扱います。コンプライアンス研修のネタとなるテーマ例をお探しの研修ご担当者様は、これらを参考に研修資料を用意すると良いでしょう。
ハラスメント
ハラスメントは、職場で発生しやすい問題の一つです。さまざまな種類があり、社員の年代や属性によって認識が異なることも珍しくありません。改正労働施策総合推進法では、企業のパワーハラスメント防止措置が義務化されているため、コンプライアンス研修をはじめとした対策が必須です。
【職場で発生するハラスメントの例】
- パワーハラスメント(パワハラ)…職場における優位的な関係を悪用したハラスメント
- セクシュアルハラスメント(セクハラ)…性的な言動によって被害をもたらすハラスメント
- マタニティハラスメント(マタハラ)…女性社員の妊娠・出産・育児に対して不適切な言動を行うハラスメント
- パタニティハラスメント(パタハラ)…男性社員の育児に対して不適切な言動を行うハラスメント
情報リテラシー
近年は社員がSNSで不適切投稿を行い、炎上によって企業が不利益を被る被害が多くなっています。そのため、コンプライアンス研修でも「SNSの適切な利用方法」や「SNSでの発言が与える影響」といった情報リテラシーを学ばせる必要性が高まっています。
個人情報保護
ビジネスシーンでは取引先や顧客の個人情報を扱います。これらの機密情報が社外に漏れると、重大な情報漏えい事故につながりかねません。コンプライアンス研修を通じて、個人情報を安全に管理する方法を学ばせることが大切です。
社内通報制度
社内通報制度(内部通報制度)とは、組織内の不正行為を通報・相談して問題を解決するための制度です。同僚や上司の不正を発見した場合の対処法となる重要な制度であるため、コンプライアンス研修において制度を利用するための情報を紹介すると良いでしょう。
知的財産権(著作権・意匠権・商標権)
企業活動において自社の製品や技術に関わる知的財産を守り、かつ他社の権利を侵害しないためには、知的財産権の知識が必要となります。意図せず発生する可能性があるコンプライアンス違反のリスクを避けるために、重要なテーマの一つです。
景品表示法・薬機法
景品表示法とは、企業による広告や景品の提供に関する法律です。薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの安全を確保するための法律となります。いずれも消費者に適切な情報を提供するために専門的な知識が求められます。
社内の手続き・経費
経費精算をはじめとした社内手続きで発生する不正を防ぐには、コンプライアンス研修で社員に情報を周知する対策が有効だとされています。正しい手続きの方法を学び、一人ひとりが経費の適正な利用を意識することが、不正防止につながります。
下請法
下請事業者に業務を発注する際、親事業者による業務上の優位な立場を利用したコンプライアンス違反が懸念されます。公正な取引を実現するためにも、研修を通じて下請法について学び、親事業者の禁止行為を理解しておくことが大切です。
商慣習
業務上発生する契約や取引においては、商習慣に関する法令違反がないよう務めなければなりません。日常業務での不正な契約や取引が発生しないよう、一般社員から経営幹部まで商習慣のコンプライアンスを学ぶ必要があります。
部下の指導方法【管理職向け】
管理職が適切なリーダーシップを発揮して部下を指導するには、コンプライアンスの正しい知識が必要となります。上司自身が法令遵守を徹底することはもちろん、研修を通じて部下に法令遵守を徹底させるための指導方法を学べると理想的です。
ビジネスマナー【新入社員向け】
新卒で入社した新入社員には、組織で働く上で守るべき法令やマナーを基礎から身につけさせなければなりません。新入社員向けのコンプライアンス研修では、社会人が知っておくべき基本的なルールやマナーを一から学べるテーマ設定が求められます。
コンプライアンス研修のネタの探し方
コンプライアンス研修をより具体的で説得力のある内容にするためには、社員の身近にあるさまざまなコンプライアンス問題の具体例を収集する必要があります。ここでは、コンプライアンス研修のネタの探し方をご紹介します。
社内の違反事例から探す
過去に自社で起こったコンプライアンス違反の事例からネタ探しをする方法です。実際に身近で起こったトラブルを扱うことで、注意を促しやすいといえます。コンプライアンス違反が発生した際の自社の対応を例として挙げても良いでしょう。
同業他社の違反事例から探す
自社に参考にできる事例がない場合は、同業他社の違反事例をネタ探しの参考にするのも一つの手です。同業他社の場合、業界特有のコンプライアンス違反の事例が見つかる可能性があるので、自社のコンプライアンスへの取り組みにも改善策として反映しやすいといえます。
省庁や業界団体の違反事例から探す
省庁や業界団体が公表しているコンプライアンス違反事例をネタ探しに活用する方法です。例えば、厚生労働省・消費者庁・公正取引委員会などの省庁や業界団体は、各分野のコンプライアンス研修に役立つ情報をWebサイトなどで発信しています。
新聞やニュースサイトで取り上げられた事例から探す
昨今の新聞やニュースサイトなどに掲載されて話題となった事例からネタ探しを行い、コンプライアンス研修に最新のトレンドを取り入れる方法です。これにより、有名企業がコンプライアンス違反に対して行った対応などを参考にできます。また、受講者の興味関心を引きやすいという点もメリットです。
専門家のアドバイスから探す
弁護士など社外の専門家からアドバイスを受けたり、研修会社に委託したりする方法も有効です。研修会社では、集合研修やe-ラーニングなどのさまざまな実施方法で研修サービスが提供されています。コンプライアンス研修に特化した効果的なプログラムを利用できます。
SNSの話題から探す
SNSで話題になった事柄の中から、研修に関連しそうなトピックをネタとして取り入れる方法もあります。例えば、大規模な情報漏えいや内部告発など、社会的に注目を集めたトピックを事前にチェックしておくと良いでしょう。
コンプライアンス研修のネタを探す際のポイント
コンプライアンス研修は、組織のリスクマネジメントの観点から非常に重要な研修です。社員に法令遵守の重要性を周知し、人材育成に役立てるためにも、以下のポイントで研修用のネタ探しをしてみましょう。
コンプライアンス研修の目的を明確にする
コンプライアンス研修で取り扱う内容や範囲を的確に設定するためにも、まずは研修の目的を明確にしましょう。例えば、「新入社員研修の一環として実施するケース」と「特定の不祥事の防止を目的として実施するケース」では、同じコンプライアンス研修でも必要なネタが異なります。コンプライアンス研修はあらゆる社員が受講する可能性があるため、対象者や目的に適したネタを探すのが一つのポイントです。
社員の興味を引くような研修のネタをストックしておく
研修ご担当者様は、コンプライアンス違反事例の最新情報を常にチェックして、日頃からネタをストックしておくようおすすめします。受講者が当事者意識を持てるよう、身近な違反事例を取り入れながら、工夫して教材を作成することがポイントです。具体的な事例をネタにすると、受講者が自分自身の働き方を振り返りながら、自分ごと化して考える機会を作りやすくなります。
効果的なコンプライアンス研修を行うコツ
コンプライアンス研修を成功へ導くためには、以下のコツを押さえて研修を実施することが大切です。継続的に社員教育へ取り組み、職場にコンプライアンスの意識を浸透させましょう。
定期的に研修を行う
コンプライアンス研修を定期的に実施することで、社員のコンプライアンス意識を高い状態のまま維持する効果が期待できます。一度研修を実施した後も、継続して受講させる仕組みを作るのが望ましいでしょう。また、話題性の高いコンプライアンス違反事例が発生したときなど、社員の関心が高まったタイミングで適宜研修を実施するのも一つの手です。
オンライン研修を活用する
コンプライアンス研修は、集合研修以外にeラーニングや動画配信ツールを用いたオンライン形式で実施することも可能です。一斉に研修を実施するのが難しい場合は、ぜひオンライン研修を活用しましょう。オンライン研修は、時間や場所を問わずに受講できるので、社員が業務の合間に学べるのが魅力です。研修を受講する負担を抑えつつ、一人ひとりのペースに合わせた効率的な学習を実現できます。
研修内容のPDCAを行う
コンプライアンス研修の実施後は、研修の効果を確認するために効果測定を行いましょう。知識の習得度をチェックするテストや、行動変容を測るアンケート調査など、項目ごとに適した方法で効果測定を行います。また、測定後は分析を実施し、課題を発見したら改善して次回の研修へ反映させます。PDCAサイクルを回して、研修の精度を向上させることが大切です。
コンプライアンス研修の流れ
コンプライアンス研修を実施する際は、以下の流れで準備から振り返りまで取り組みます。3つのステップでより良い研修を実現しましょう。
Step1.社員のコンプライアンスに関する知識や意識レベルの調査
まずは社内アンケートを実施し、自社の現状を把握します。社員のコンプライアンスに対する知識レベルや意識などを調査し、自社の課題を特定するためです。「社員に知識が不足している分野はどこか」「見直すべき企業文化はあるか」といった観点から調査を行うと良いでしょう。
Step2.コンプライアンス研修の内容の策定
社内アンケートの結果に基づいて研修の内容を策定します。階層別・部署別にコンプライアンス研修を実施する場合は、対象者ごとに必要な内容を盛り込みましょう。例えば、営業部門が対象なら「顧客の個人情報の保護」、経営層が対象なら「コンプライアンス体制の構築」といった内容が適しています。
Step3.コンプライアンス研修の実施と振り返り
コンプライアンス研修を実施したら、その後にアンケート調査を行います。研修を通じて受講者に知識を定着させ、行動変容を促せたかを確認するために、必ず振り返りを行いましょう。万が一、受講者の理解が不足している傾向にある場合は、追加の研修やフォローを検討することが重要です。
実践的なコンプライアンス研修で社員の行動変容を促しましょう!
ここまで、コンプライアンス研修のネタの見つけ方から、研修を効果的に実施するポイントまで解説しました。コンプライアンス研修には、法令遵守を徹底する職場環境を醸成し、組織のリスク管理を強化する意味合いがあります。ただ、そのためには研修を通じて社員一人ひとりの意識を変えて、行動変容を促せるような良質なコンテンツが必要です。コンプライアンスへの理解度を高め、受講者の成長につながる教材をお探しなら、NTT HumanEXが提供する「コンプライアンスイマジン」や「コンプライアンス共感講座」をおすすめします。
「コンプライアンスイマジン」は、共感型のストーリーで問題を自分ごと化して行動変容を促す、ケーススタディ型のeラーニングコンテンツです。リアルなコンプライアンス違反の事例をベースに、受講者が想像力をはたらかせながら学習を深めていく、実践的な教材となっています。日々の業務に潜むリスクを体感しつつ、自身の立場に置き換えて考えさせる構成によって、自分ごと化を強く促します。コンプライアンスの必要性を知識として学ぶことに留まらず、行動変容につなげられるのが大きな特長です。また、「コンプライアンス共感講座」では、受講者に合わせて「基本編」「改正個人情報保護のポイント編」「ハラスメント編」の3つのコースを選択できます。研修ご担当者様は、ぜひ導入をご検討ください。
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