コラム

多様性とは粘り強さと柔軟性 ダイバーシティ・マネジメントは企業にとって将来の武器

長きにわたってダイバーシティという価値観は希薄だった日本のビジネス。しかし近年、人種・民族・宗教・性別そのほかあらゆる多様性が取り込まれたダイバーシティ・マネジメントへの変貌を迫られています。

ダイバーシティの概念を企業マネジメントに取り込む

日本の従来のマネジメントには独自のメリットがありました。それは、業務に携わる人材のほとんどが同じ日本人、かつ男性だったため、価値観や判断基準が非常に似通っていたからです。

しかし、多様な価値観を持つ人々が社会で活躍する現代、交渉相手が外国の企業や外国人、異性であるかもしれません。こちらと同様の思考を持っているという前提で対応していては、企業活動に大きな支障をきたす可能性があります。

現代のグローバル社会でビジネスを推進するためには、今後あらゆる場面でダイバーシティ・マネジメントが求められていくでしょう。企業としての成長を加速させるためにも、いち早くダイバーシティ・マネジメントをわがものとする必要があるのではないでしょうか。

ダイバーシティとは
市場の要求の多様化に応じ、企業側も人種、性別、年齢、信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させようという考え方のこと。

ダイバーシティの最先端、ニューヨークの今

あらゆる点でダイバーシティを具現化したような街、ニューヨーク。出身国、政治背景、商取引(商慣習や通貨)、社会風習、宗教、言語、民族的背景などありとあらゆるものが多岐にわたるという非常に複雑な社会構造です。この点から見るに、ニューヨークでのビジネスで何らかの一元的な指針や規範を制定することは困難だといえるでしょう。

基本となる言語だけはほぼ英語に集約されるものの、前述した通りすべてが多岐にわたります。多様性が前提といえるからこそ、ニューヨークのビジネスではダイバーシティ・マネジメントの導入が必須なのです。

ビジネス上で目につく点を紹介します。まず、トップダウンで特定の指針や手法を押し付けるのではなく、全体的に、人材が効率よく素早く動けるか、人材に合う業務を適切に振り分けられるか、という観点で体制を取りまとめています。同時にダイバーシティ・マネジメントが定着していることで、各個人が快適に業務に取り組めている点も。それにより業績が一層向上するといった副次的効果も見受けられます。

ダイバーシティへの対応は企業にとって将来の大きな武器

米マッキンゼー社は、以下のような調査結果を踏まえ、2015年の報告書の中で、ダイバーシティがマーケットシェアを高める差別化要素となることを示しています。

  • 民族的多様性の高い上位1/4の企業は、ほかよりも35%以上財務状況が良い
  • 性別の多様性が高い上位1/4の企業は、ほかよりも15%以上財務状況が良い
  • 米国において、従業員の民族や性別の多様性と財務状況は比例している

さらに、突発的な事象や未知の分野において適切な解決策を見出しやすい環境を整えられる、競争力や受託する業務の許容量を向上させることに結びつくということも示しています。
つまりダイバーシティ・マネジメントは、より柔軟かつより強靭(きょうじん)なビジネス基盤を築く重要な要素であるといえるでしょう。

多様な交渉相手に対する適切な人材を配置して信頼を得る、ということが可能になれば、ビジネスが好転するのは自明の理でしょう。さらに、柔軟かつ円滑に業務を遂行できるようにもなると見込まれます。

現代の社会情勢を鑑みるに、今後はダイバーシティ・マネジメントの導入は経営戦略上からも必須事項であるといえます。目的を明確化したうえでの実質的な取り組みがあれば、ビジネスの規模や業種を問わず、非常に大きなものが得られるのではないでしょうか。

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