コラム

エンゲージメントを高める取り組みとは?4つの具体策を解説

本記事では、従業員のエンゲージメントを高めることの重要性とメリットに加え、エンゲージメントを高める具体的な方法を4つ紹介します。
エンゲージメントを高めることで、企業の業績向上はもちろん、従業員のモチベーションアップや定着率を向上させる要因になります。業績や従業員の定着率などで悩んでいる担当者の方は、ぜひご覧下さい。

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは「社員が会社に対して愛着心や思い入れをもっている状態」を指します。
似た言葉で「従業員満足度」もありますが、意味は異なります。従業員満足度は従業員の主体性に着目し、その感情を基準とするのに対して、エンゲージメントでは企業と従業員双方の関係性に注目します。

「エンゲージメントが高い」状態とは、会社に対して献身的で、常に高いレベルで従業員が働くことを指します。そのため、従業員が現在の仕事・人間環境にどの程度満足しているかを示す従業員満足度とは一線を画します。

社員のエンゲージメントを高められれば、貢献意欲が高まることとなり、その結果、仕事のパフォーマンスが上がるので、結果として生産性の向上につながります。生産性が上がり、比例して業績も上がれば、従業員へより多くを還元できるようになります。従業員の定着率向上の一因にもなるので、人手不足の解消にもなります。

逆に、エンゲージメントが低ければ生産性の低下や離職率を上げる要因になります。業績が思うように上がらず、人材にまとまりがなければ組織力が弱くなります。結果として、企業の業績にも影響を及ぼす可能性があります。

エンゲージメントの重要性

まず、ギャラップ社が調査した世界各国で「エンゲージメントが高い」に加え、「パフォーマンスのレベルが高い」従業員の割合は全体の15%という結果になりました。

日本の調査結果を見ていきましょう。日本の従業員の中で「エンゲージメントが高い」割合は全体のわずか6%という結果になりました。
この数字は、調査した139カ国中132位と最低レベルです。世界と比べても日本人従業員のエンゲージメントは非常に低いことが分かります。

日本人のエンゲージメントが低いと言われる理由としてはさまざまなものが考えられますが、日本人の仕事に対する姿勢がやや受け身であることや、社内で自ら提案をして業務を遂行するような文化が乏しいといったことが主に挙げられます。

参照元:エンゲージメントが低下したら?低下する会社の特徴や高める方法も
https://survey.lafool.jp/mindfulness/column/0074.html

エンゲージメントが従業員のパフォーマンスに強く関係してくることは前章で説明した通りです。従業員のパフォーマンスは業績や営業利益率にも大きく影響します。

モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学 大学院経営管理研究科/ビジネス・スクール 岩本研究室は、共同で従業員エンゲージメントと営業利益率の相関を示したデータを出しています。こちらでは、従業員に質問を行って算出したエンゲージメントスコア(ES)が1つあがると翌四半期の営業利益率が0.38%アップする、というデータが出ています。また、エンゲージメントが上がることは比較的短期間での業績向上にもつながるという結果が出ました。

参照元:エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開
https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=14

このことから、エンゲージメントは業績や営業利益、企業競争力に直結する経営課題といえます。従業員エンゲージメントの向上が会社にもたらす利益についてしっかりと理解し、重要性を意識して取り組むことが、人材の流動性や多様性が高まる現代において重要です。また、従業員エンゲージメントの向上は新たな組織開発など、企業の変化への対応力にもつながってくるといえます。


エンゲージメントを高めるメリット

従業員のエンゲージメントを高めるメリットは以下の3つです。

  • 生産性、利益向上につながる
  • 離職率が低下する
  • 社員の主体性が向上する

逆に考えれば、「生産性・利益が減っている」「離職率が多い」「社員に主体性がない」と悩んでいる企業であれば、エンゲージメントを高めることが解決の糸口になります。

ここからは、エンゲージメントを高めることで起こる3つのメリットをもう少し掘り下げて説明します。

生産性・利益率向上につながる

従業員のエンゲージメントを高めることで、組織に少しでも迷惑をかけてはいけないという気持ちから、より責任感を持ち業務を行うことで仕事上のミス防止や業務を予定通りに行う能力の向上につながります。
結果として、生産性の向上が実現できます。生産性が高くなれば、少ないリソースで成果を上げることになるので、収益率も向上します。

離職率が低下する

エンゲージメントの高い従業員であれば、離職率は低下します。理由として、エンゲージメントは忠誠心を育てることに役立つからです。
多くの従業員がもつ忠誠心が高ければ離職率は自ずと下がります。逆に低ければ、従業員は転職サイトへ登録し、良い条件を提示する企業へと移っていってしまう恐れがあります。

社員の主体性が向上する


従業員のエンゲージメントを高める施策の中に「共感性の向上」があります。たとえば企業の「ビジョン」「業務の方針」に従業員が共感できれば、企業と社員が共に同じゴールへと向かっていく体制が形成できます。
ゴールを共有できれば、指示を待つ従業員は減ります。なぜならゴールが見えているので、具体的にどうやってゴールへ達成するかを考えるようになるためです。
結果として、社員が自分たちで考え行動する「主体性」が芽生えることにつながります。主体性とは、自律的な行動ができるかどうかという状態を指します。つまり、社員一人ひとりが自律性をもち業務を行うようになるのです。

エンゲージメントを高める4つの方法

ここからは実際にエンゲージメントを高める方法を紹介します。

1. エンゲージメントを測定する

まず「従業員サーベイ(調査)」を行い、従業員のエンゲージメント基準値を測定しましょう。調査をする際に折り込むべきポイントは以下の3つです。

  • 総合指標(会社への満足度期待度)
  • レベル指標(仕事への熱意活力)
  • ドライバー指標(自己肯定感や当事者意識)

上記3つの指標をアンケート形式などで折り込み、従業員が回答する形にしましょう。具体的な質問内容は以下の通りです。

  • 質問:現在企業に対してどのくらい満足していますか?:総合指標(会社への満足度・期待度)
  • 質問:現在行っている仕事にやりがいはありますか?:レベル指標(仕事への熱意・活力)
  • 質問:良好な職場環境・人間関係を構築できていますか?:ドライバー指標(自己肯定感や当事者意識)

回答は「非常に満足」「満足」「不満」「非常に不満」の4つから選択することもあれば、1〜10段階で回答を取得し、より精緻なデータを取得する等、企業によって実施方法は様々です。また授業員サーベイを実施する際には従業員にとって不利益にならないものであることの周知や匿名で行わなければならない等、実施側も配慮しなければいけない点があることにも注意しましょう。 上記の結果を集計することで、今後どの分野を強化してエンゲージメントを高めるべきかが分かります。

2. 会社のビジョン・ミッションを共有する

会社が目指すビジョンやミッションを従業員と共有し、同じゴールへ向かう一体感を形成しましょう。 目指すべきゴールを従業員たちで共有できれば、目標が明確になります。目標が明確になれば、モチベーションアップにつながり、エンゲージメントを高められます。そのためには、経営幹部がもつ情報や考え方をできる限りオープンにすることです。目指すべきゴールと道のりが明瞭になることで、社内全体の一体感が醸成されます。

逆に、経営幹部の考え方が不明瞭であれば、従業員は一体どこを目指せば良いのか分からず困惑します。困惑する期間が長引けば、いずれ不信感に変わり、最終的には不満へと変わる可能性もあります。

情報や考え方をオープンにする具体的な方法としては、勉強会を開く、社内報などの情報共有ツールを使用することなどが挙げられます。また、経営幹部が直接従業員と話をする機会を増やすことで共有を図ることも可能です。

3. 社内コミュニケーションを見直す

エンゲージメントを高めるために「円滑なコミュニケーション」「良好な人間関係の構築」を図るのは必須事項です。

具体的には、部下の成長を促進する目的として1on1ミーティングを行うことが挙げられます。これは上司が部下に対して業務上の指摘をする場面ではありません。部下の悩んでいることや相談に対してのアドバイスを行う「部下の育成のための時間」の事です。特に若い部下は将来のビジョン、キャリアについて不安視しています。その場合、「将来どうなりたい?」といった漠然とした質問ではプレッシャーを感じてしまうことがあるため「今努力していること」「今の業務でのやりがい」など身近な話から話題を広げていくと良いです。その他にも社内イベントの実施や情報共有ツールの活用などの堅苦しい話ばかりではなく、気軽なやりとりができる環境作りも必要です。社内トレーニングや研修・教育などの機会もコミュニケーションの質を向上させる良い機会となります。

4. 社員の人事配置・評価制度

人は、良い環境の中で働いてこそ成果を出せます。また、行った業務に対して適正に評価されることでモチベーションも上がり、エンゲージメントも高まります。そのため、適切な「人事配置」「評価制度」が確立できているか見直しましょう。

ひとつ目の人事配置についてですが、組織になじめていない従業員がいるかもしれません。各従業員の価値観を受け入れ、組織のあり方を考え直す事も大切です。場合によっては適切な部署への移動も検討します。

ふたつ目の評価制度については、たとえば優秀な成績を残した従業員に対する表彰制度を設立したりMVP社員を公表したりする環境づくりを行い、成果を正当に評価することが大切です。

このように適切な労働環境と正しい評価制度および育成方法を確立することで、従業員の意識改革へのきっかけとなります。従業員が組織に大切にされていると感じる事で、ますますエンゲージメントの高まりに繋がります。

社内の育成方法を見直す

育成方法の見直しも、従業員のエンゲージメントを高めるためには有効です。従業員のレベルに合わせた育成をすることで、従業員の成長や業務の達成を促し、業務に対する達成感や満足度を向上させることができます。例えば、「ティーチング・コーチング」は、不足する知識を教える「ティーチング」と、自発的な行動を促す「コーチング」を分けて考える育成方法です。

ティーチング、コーチングをうまく使い分けるには、まず部下のスキルレベルや性格を把握しておく必要があります。メリットがある反面、デメリットも大きいです。つまり、間違えた育成方法を選択してしまうと、かえって部下の自主性を損なったり、逆に時間が過ぎたりする危険性も視野に入れておく必要があります。

まとめ

従業員のエンゲージメントを高めることで、モチベーションアップに加え、定着率の向上、業績アップに繋がります。

企業、組織運営を行っていく上で、エンゲージメントが占める重要性は理解できたが、では実際にどうすれば、何からすればよいのかわからなかったり、色々と試行錯誤する時間も掛けられないという方は先ずはエンゲージメント・サーベイツールを利用したり、手軽に取り組めるeラーニングから始めてみることをおすすめします。NTTラーニングシステムズが提供する社内研修サービスでは、エンゲージメントを高める講座を多く揃えています。自社のニーズや課題に合わせて、外部サービスを上手に活用しながら、エンゲージメントを高め、組織を活性化していきましょう。

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