情報セキュリティのeラーニングを導入するメリット、選ぶポイントは?
近年は企業を狙ったサイバー攻撃による被害が増加し、情報セキュリティ研修の重要性がますます高まっています。社員教育の充実化を図り、従業員のセキュリティ意識を向上させるなら、「情報セキュリティのeラーニング」を導入すると良いでしょう。eラーニングによって最新の知識を効率的にインプットして、さらには身近な情報セキュリティリスクを“自分ごと化”することで、社内の予防意識が高まります。
本記事では、情報セキュリティのeラーニングを導入するメリットや、サービス選定のポイントをお伝えするため、社員教育のご担当者様はぜひ参考にご一読ください。
情報セキュリティのeラーニングとは?
「情報セキュリティのeラーニング」とは、企業の情報セキュリティの重要性や対処法などを学べる、eラーニングコンテンツのことです。eラーニングはインターネットを利用した学習形態であり、PCやスマートフォンなどのIT機器から専用システムにアクセスして学ぶ仕組みとなっています。その際、多くの企業のeラーニング研修では、「学習管理システム(LMS)」と呼ばれるシステムが活用されています。LMSの機能を使えば、動画やテストなどの教材を作成・管理したり、受講者の進捗状況を把握したりすることが可能です。
情報セキュリティのeラーニングで学ぶ内容は、企業や導入するサービスによって異なります。ただ、一般的には情報セキュリティの基礎知識や、日常業務に即したケーススタディ、よくあるサイバー攻撃への対応訓練などを実施するケースが多いといえるでしょう。具体的な学習コンテンツの例については、以降の見出しで詳しく解説します。
情報セキュリティのeラーニングの主なコンテンツ例
情報セキュリティのeラーニングでは、主に以下のテーマのコンテンツが提供されています。自社の業務や課題に合わせて、社内の情報セキュリティ意識向上に必要なテーマを確認してみましょう。
個人情報保護
個人のプライバシーに関わる重要な情報(=個人情報)の適切な取り扱い方や、個人情報を守るセキュリティ対策の重要性などを学びます。例えば、「個人情報保護法」の法律の概要や、個人情報の漏えいで企業にもたらされるリスクなどの内容が挙げられます。情報セキュリティの基礎知識を身につける上で役立つ研修コンテンツです。
情報セキュリティポリシー
自社が保有する情報資産を守るための、組織としての方針や行動指針(=情報セキュリティポリシー)について学びます。自社が策定した情報セキュリティポリシーの内容や、コンプライアンス遵守の重要性を理解させることで、組織のルールに則って行動する意識を従業員に身につけさせます。
SNSの利用ルール
従業員が企業または個人のアカウントでSNSを利用する際に存在するリスクや、SNSを安全に利用するためのルールなどを学びます。近年は、SNSでの不適切な発言が大きな問題に発展したり、SNS投稿で著作権侵害が発生したりと、さまざまなトラブルの事例が見受けられます。SNSの背景にあるリスクを理解し、適切な利用を促す研修コンテンツです。
標的型攻撃メールへの対応
企業を狙ったサイバー攻撃の手法の中でも、標的型攻撃メールに特化して対策を学びます。標的型攻撃メールとは、ビジネスメールを装って従業員を騙し、企業の機密情報やパスワードなどを巧妙に窃取する手口です。研修コンテンツを通じて、最新の攻撃の手口や悪意のあるメールの見極め方、サイバー攻撃を受けた場合の対処法などを学びます。
ネットワークセキュリティの概念
社内ネットワークの安全を守るために必要な、セキュリティ対策の基本を学びます。具体的な内容として、「ファイアウォール」をはじめとした技術的な対策の概要や、社内ネットワークを狙った不正アクセスの手口などが挙げられます。社内のセキュリティ意識を向上し、悪意のある第三者による社内ネットワークへの侵入を防ぐための研修コンテンツです。
セキュリティインシデントの事例
実際に企業で発生した事例を題材に、情報セキュリティ上の問題や事故(=セキュリティインシデント)について実践的に学びます。身近な業務で起こり得る事例を通じて、具体的なセキュリティリスクや対策方法などを学習する研修コンテンツです。
サイバー攻撃の手口と対策
多種多様なサイバー攻撃を題材として取り上げながら、それぞれの手口の特徴や対策方法を学びます。サイバー攻撃には種類が多く、かつ年々巧妙化して新たな手口が登場する可能性があるため、研修では最新の手口について網羅的に学べると理想的です。よくある手口を把握しておくことで社内の予防意識が高まり、被害の防止につながります。
セキュリティアクション
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提唱する制度「SECURITY ACTION(セキュリティアクション)」の概要や、情報セキュリティの基礎知識を学びます。セキュリティアクションとは、中小企業が情報セキュリティ対策への取り組みを宣言する制度です。宣言を行う予定の企業が、社内の情報セキュリティ意識を向上させる際に役立てられます。
情報セキュリティのeラーニングを導入するメリット
情報セキュリティのeラーニングを導入すると、以下のメリットが期待できます。eラーニングならではの特長を生かして、効果的な社員教育を実現しましょう。
トレンドに応じてコンテンツがアップデートされやすい
eラーニングはオンラインでコンテンツが配信される仕組みなので、アップデートによって情報セキュリティに関する最新のトレンドが反映されます。例えば、関連法の改正内容や、最新のサイバー攻撃の手口などを常にキャッチアップして、コンテンツのこまめな更新・追加が期待できるでしょう。
受講者は自由なペースで学習できる
eラーニングは受講者が自由なペースで気軽に学習できるというメリットがあります。業務の空き時間を使って効率的に学習したり、視聴し放題の動画で理解度に合わせて復習したりできます。本人の希望に合わせて学べる自由度の高さが魅力です。
場所を問わずに実施できる
eラーニングは、インターネットに接続できる機器と環境さえあれば、どこでも学習できます。テレワーク(リモートワーク)で勤務する従業員も参加可能です。また、特定の場所で開催される集合研修とは異なり、会場の確保やスケジュール管理の手間がかかりません。
コストを抑えやすい
多くのeラーニングサービスの料金プランは、人数分のライセンス費用を支払って利用する仕組みとなっています。自社の利用人数に応じてコストが発生するため、組織の規模に適した費用感で導入可能です。コストパフォーマンスの高さも魅力だといえるでしょう。
学習スケジュールを立てやすい
eラーニングでは一定期間内に個別にコンテンツを受講すれば良いので、受講者が自身の仕事の予定に合わせて学習スケジュールを立てられます。企業に必須の情報セキュリティ研修を、柔軟なスケジュールで実施できる点がメリットです。
カリキュラムをカスタマイズしやすい
eラーニングなら、人事担当者が自社に必要な研修コンテンツを組み合わせて、独自のカリキュラムを作成できます。例えば、「情報セキュリティの基礎研修を集中して行いたい」「情報セキュリティの基礎から応用まで幅広く学ばせたい」など、企業のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。
情報セキュリティのeラーニングを導入する際の注意点
情報セキュリティのeラーニングを導入する際は、導入準備や受講管理において以下の点を押さえておく必要があります。スムーズな導入・運用のために注意点を確認しておきましょう。
教材を自社で用意しなければならないケースがある
eラーニングサービスに自社が必要とする研修コンテンツが不足している場合は、社内で教材を用意しなければなりません。既成のコンテンツと自社制作のコンテンツを組み合わせる場合、一部の教材の作成に多くの時間と手間がかかる可能性があります。
学習を行うための端末が必要になる
eラーニングを実施するには、専用のeラーニングサービスを導入するだけでなく、受講用のPC・タブレット・スマートフォンなどの端末が必須です。既存の社内の機器で対応できない場合は、サービスに対応した端末を購入して、従業員の学習環境を整備する必要があります。
個々のニーズへの対応が難しい
eラーニングは集合研修とは異なり講師と対面せずに学習するため、受講者の要望が伝わりづらい傾向にあります。リアルタイムで個々のニーズに対応するのが難しく、「その場で質問を受け付けて疑問を解消する」といった対応がしにくいのが注意点です。
受講者の自己管理が必要になる
eラーニングコンテンツの受講には強制力がないため、受講者が学習の進捗を自己管理することになります。管理者や人事担当者は、システムで各自の受講状況や確認テストの結果を確認し、フォローする必要があります。
技術的な障害への対応が必要になる場合がある
万が一、eラーニングのシステム側で技術的な障害が発生した場合は、管理者や人事担当者へ問い合わせが寄せられる可能性があります。社員向けによくある質問と回答をまとめ、スムーズな受講のためにガイダンスを行うことが大切です。
コンテンツを作成する際は時間がかかりやすい
eラーニングを内製化する場合は、コンテンツの作成に多くの時間と手間がかかります。スライド形式の資料や動画の制作で発生する工数に加えて、作成したコンテンツの修正や更新にかかる工数にも留意しましょう。
情報セキュリティのeラーニング導入が向いている企業・向いていない企業
情報セキュリティのeラーニングの導入が向いている企業・向いていない企業の特徴をご紹介します。eラーニングの導入を検討されている企業のご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
情報セキュリティのeラーニングの導入が向いている企業
情報セキュリティ対策の教育に関する工数を削減したい企業
eラーニングサービスを活用すれば、教材を作成する工数・研修会場を確保する工数・従業員のスケジュールを調整する工数などを削減できます。研修運用の効率化に課題を感じている企業におすすめです。
情報セキュリティの教育を従来型から変更したい企業
eラーニングは現状の情報セキュリティ研修を見直し、時代に即した研修方法に刷新したい企業に向いています。情報セキュリティの最新の知識を、効率的に社内へ浸透させられます。
集合研修の実施が難しい企業
eラーニングは集合研修のように時間や場所の制限がありません。テレワーク(リモートワーク)で勤務する従業員が多い企業様や、業務で多忙な従業員が多い企業でも研修を実施できます。
PCやスマートフォンなどの端末や環境が整っている企業
すでにIT機器やインターネット環境が整備されている企業は、eラーニングを容易に導入できます。既存の機器や環境を活用してスムーズにeラーニングを実施することが可能です。
情報セキュリティのeラーニング導入が向いていない企業
業務内でPCやスマートフォン利用していない企業
eラーニングを実施するには受講者一人ひとりに端末が必要です。既存の業務でPCやスマートフォンなどのIT機器を導入していない企業では、初期費用が高額になる可能性があります。
受講者への対応を対面で行いたい企業
eラーニングはオンラインで非対面にて受講する仕組みです。講師が一人ひとりの受講者の表情や態度を見ながら直接指導すべきと考える企業には適していないといえます。
情報セキュリティのeラーニングサービスを選ぶポイント
最後に、情報セキュリティのeラーニングサービスを選ぶポイントをお伝えします。近年の情報セキュリティ上の脅威に備えて、組織のセキュリティ意識の底上げにつながるサービスを選定しましょう。
自社に必要なコンテンツが用意されているか
eラーニングサービスごとに、提供されている情報セキュリティのコンテンツ内容に違いがあります。そのため「コンテンツのラインナップに最新のトレンドが反映されているか」「自社の情報セキュリティ研修に必要なテーマが網羅されているか」といった観点で、各サービスを比較検討すると良いでしょう。
利用する規模や利用頻度は適切か
eラーニングサービスを料金面で比較して、自社の規模や利用頻度を踏まえてコストパフォーマンスの高いサービスを選定しましょう。なかでも利用人数に応じて課金が発生するタイプのサービスは、中小規模の企業でも利用しやすいといえます。
セキュリティ特化型か汎用型か
eラーニングサービスの中には、一般的なビジネス研修の一環として汎用的な情報セキュリティのテーマを扱った研修コンテンツもあります。より現場での実践に特化した研修や、専門性の高い研修を求めるなら、セキュリティ特化型の研修コンテンツがおすすめです。
受講者にとって学びやすいサービスか
eラーニングサービスは全従業員が容易に操作できると理想的です。事前に無料トライアルなどでシステムの使用感を確認しておくようおすすめします。導入実績が豊富で、受講者・管理者・人事担当者の利便性を高める機能が搭載されているeラーニングサービスを導入すると良いでしょう。
eラーニングで社内の情報セキュリティ意識を向上させましょう!
ここまで、情報セキュリティのeラーニングを導入するメリットや、サービス選定のポイントなどを解説しました。eラーニングは最新の情報セキュリティの学習に適した研修方法です。サービスを導入する際は、自社の人材育成の目的に適したコンテンツを選びましょう。従業員が実践的に学べて、身近な情報セキュリティリスクを“自分ごと化”できる研修コンテンツをお探しなら、NTT HumanEXのeラーニングコンテンツがおすすめです。
NTT HumanEXの「情報セキュリティイマジン」は、最新の情報セキュリティのリスクを具体的なケースに基づいて学べるeラーニングコンテンツです。日頃の業務で発生する可能性があるリアルな事例を通じて、従業員自身がどのように対処すべきかを想像し、“自分ごと”として考えながら受講する設計となっています。ポップなアニメーション動画によって、学習内容が記憶に残りやすいので、情報セキュリティ意識を身につけさせるのに効果的です。セキュリティインシデントへの初動対応力を高めたい企業様や、社内にリテラシーを浸透させたい企業様におすすめします。
このほかにもNTT HumanEXでは、eラーニングで情報セキュリティを体系的に学べる「情報セキュリティ共感講座」や「セキュリティアクション講座」などの多彩な研修コンテンツをご用意しています。人事部門のご担当者様は、無料お試しIDでコンテンツをご視聴いただけます。情報セキュリティのeラーニングを導入するなら、どうぞお気軽にお問い合わせください。