管理者のタイムマネジメントの基本
忙しい管理者ほど時間価値は高く、時間の有効利用が求められます。管理者が行う業務は多岐にわたり、上層部や部下との連携が必要です。さらに、完了まで時間がかかることが多く、数々の業務を同時進行しなければなりません。このように、管理者には業務を円滑に進行するためのスケジュール管理、時間管理の能力が欠かせません。ここでは、使える時間を増やすためのタイムマネジメントについて考察します。
タイムマネジメントでクリアすべき2つの課題
タイムマネジメントとは、自分の時間の使い方を計画して確実に実行するためのセルフマネジメントのことです。つまり、使える時間を増やすために「スケジューリング」「時間を節約して無駄な時間をなくす」という2つの課題をクリアすることだといえます。
「スケジューリング」は、持ち時間のなかに業務を割り振ることを指します。このとき、ただ割り振るのではなく、アポイントの入れ方や打ち合わせでの話の進め方を事前にある程度決めておくことが重要です。
次に、「時間を節約して無駄な時間をなくす」には、効率的な仕事の進め方を模索しなければなりません。仕事の優先順位を決め、無駄な作業や省略できるものなどを精査する必要があります。
そして、上記2点が改善されれば「使える時間を増やす」ことができ、時間に余裕が生まれます。
時間に余裕があれば、クレーム対応等の突発的な業務が生じても迅速な対応が可能です。スケジューリングと時間の節約は、その備えでもあることを意識しましょう。
優先順位を明確にするスケジュール管理
時間と業務を精査して、突発的な業務にも備える時間を確保したら、次は効率的に業務をこなしていくためのスケジューリングを実行していきます。
スケジュールを組むときは、業務の優先順位をどのように設定するかが重要です。業務には、「緊急性」と「重要性」の2つの性質がありますが、「緊急性」よりも「重要性」を重視して優先順位をつけていきます。
これは、緊急性の高い業務を優先して、いざ重要性の高い業務に取りかかったときに突発的な事項が入り、あと回しになってしまうのを防ぐためです。ただし、実際には重要度の高い業務を7~8割仕上げ、めどがついたところで緊急性の高い業務に取り掛かるのがいいでしょう。
とりあえずある程度まで仕上げておき、時間があればさらに改善するという考えで取り組むことで、急に入ってくる業務やスケジュールをこなしながら、重要度の高い業務も手を抜かずに進めることができます。
業務の効率化を図り、時間を作りながら実行する
管理者の仕事は多岐に渡ります。予定以外の作業やトラブル対応、緊急の打ち合わせなどが入ってくることは日常茶飯事でしょう。しかし、作業が中断してしまうと仕事の効率はなかなか上がりません。そこで重要なのが、ひとつの業務を中断することなく一気に片付ける「固まり時間」を作ることです。
書類作成のようなこまごまとした雑務も、それだけをやる固まり時間の中でまとめて行います。そうすることで、重要な業務に集中することができます。
時間を有効に使う意識を持つための5つのポイント
これら「時間と業務の精査」「優先順位を考えたスケジューリング」「固まり時間による仕事の効率化」という流れを継続的に進めていくためには、目標や目的を明確化して自分の時間価値を高めようとする意識が大切です。
最初はタイムマネジメントを意識していても、うまくいかないとモチベーションが下がってしまい、いつの間にか以前の状態に戻ってしまうことは少なくありません。そこで、タイムマネジメントを続けるには、以下の5つがポイントとなります。
- 目的を見失わない
- 目標達成後や計画実行後の自分の姿や周りの様子を強くイメージする
- 日ごろから目標、計画、スケジュールを頻繁に確認する
- 計画が変わったらすぐに修正し、日々の状況変化に的確に対応する
- 計画どおりに進める意思を持ち続ける
管理者の業務は計画的に進めないと、管理しきれないまま日に日に増えていきます。目標を持ち、意識的に効率をアップさせることが必要です。効率や生産性を高めることで時間価値は上がります。そして突発的事項にも常に備えられるようにしておくことで、余裕を持って質の高い仕事ができるようになるのです。